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自家不和合性 (植物) : ミニ英和和英辞書
自家不和合性 (植物)[じかふわごうせい]
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〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。

自家 : [じか]
 【名詞】 1. own 2. personal 
: [いえ, け]
  1. (suf) house 2. family 
: [ふ]
  1. (n-pref) un- 2. non- 3. negative prefix
不和 : [ふわ]
  1. (adj-na,n) friction 2. discord 3. trouble 4. dissension 5. disagreement 
: [わ]
 【名詞】 1. (1) sum 2. (2) harmony 3. peace 
和合 : [わごう]
  1. (n,vs) harmony 2. concord 3. agreement 4. unity 5. union
: [ごう]
 【名詞】 1. go (approx. 0.18l or 0.33m) 
合性 : [あいしょう]
 【名詞】 1. affinity 2. compatibility
植物 : [しょくぶつ]
 【名詞】 1. plant 2. vegetation 
: [もの]
 【名詞】 1. thing 2. object 

自家不和合性 (植物) : ウィキペディア日本語版
自家不和合性 (植物)[じかふわごうせい]

自家不和合性(じかふわごうせい、英語:self-incompatibility, SI)は、被子植物の自家受精を防ぐ数種類の遺伝的性質の総称である。ある植物個体の正常に発育した花粉が同じ個体の正常な柱頭受粉しても受精に至らないこと、あるいは正常種子形成に至らないことを自家不和合と呼ぶ〔『岩波生物学辞典』〕〔『分子細胞生物学辞典』〕。一般的に両性花〔花の形態の用語
両性花 - 雄蕊と雌蕊を同時に持つ花。
単性花 - 雄蕊のみを持つ花(雄花)と雌蕊のみを持つ花(雌花)。
異形花 - 同一植物種の中で異なった形を持つ花(個体内・個体間で異なる)。広義には雄花・雌花も含み、そのほかに異形花柱花(異形蕊花)を含む。
二形花・三形花 - 異形花柱花の種類。2種類あるいは3種類の異なる形の花をつける個体が異なっている。それらは雄蕊・雌蕊の長さ・形の違いを持っている。〕で観察されるが、クリヘーゼルナッツなどの雌雄同株異花などでも観察される〔『新編農学大辞典』〕。
自家不和合性の植物では、同一または類似の遺伝子型を持つ個体の柱頭に花粉が到達しても、花粉の発芽・花粉管の伸長・胚珠の受精・受精胚の生育のいずれかの段階が停止し、結果として種子が形成されない。雌蕊と花粉との間の自己認識作用によって起こる事象であり〔〔『最新農業技術事典』〕〔「アブラナ科自家不和合性における''S''遺伝子座の分子遺伝学的解析」〕、その自己認識は柱頭上(アブラナ科キク科)、花柱内(ナス科バラ科マメ科)、子房内(アカシアシャクナゲカカオ)で行われる〔。
自家不和合性は、被子植物において自殖(自家生殖)を防ぐ最も重要な手段であり、新しい遺伝子型を作成し、地球上に被子植物が広がった成功の要因の一つであると考えられている。一般的な自家不和合性は、配偶体型と胞子体型、または同形花型と異形花型に分けられる(下表)。自家不和合性は種子植物で一般的とは限らない。かなり多くの植物種は自家和合性(self-compatible , SC)である。被子植物種の半分が自家不和合性であり、残り半分が自家和合性であると推定されている〔Igic, B., and J. R. Kohn (2006). "Bias in the studies of outcrossing rate distributions." ''Evolution'' 60: 1098-1103. 〕。

== 概要 ==
最も良く研究がなされている自家不和合性のメカニズムは、花柱での花粉の発芽阻害および花粉管伸長の阻害によって作用する。これらはタンパク質とタンパク質の相互作用に基づき、一般的には''S''と表記される一つの遺伝子座で制御され〔〔〔イネ科ペレニアルライグラスライムギでは2遺伝子座、テンサイでは4遺伝子座の関与がある(『新編農学大辞典』)。〕、その遺伝子座には多種類の対立遺伝子がある〔カブハクサイ(''Brassica rapa'')で100種類以上、ヒナゲシで65種類程度の対立遺伝子がある(『新編農学大辞典』、「アブラナ科自家不和合性における''S''遺伝子座の分子遺伝学的解析」)。〕。自家不和合性は、全体として類似の組織間反応あるいは類似の遺伝様式に見えるが、独立に進化した異なった細胞内物質に基づくメカニズムを総括したものである〔Charlesworth, D., X. Vekemans, V. Castric and S. Glemin (2005). "Plant self-incompatibility systems: a molecular evolutionary perspective." ''New Phytologist'' 168: 61–69.〕。したがって、それぞれのメカニズムにはそれぞれ特有の遺伝子が関係している。
''S''遺伝子座は2種類の基本となるタンパク質(それぞれ雌蕊花粉で発現し、雌性決定要素と雄性決定要素と呼ばれる)をコードする領域を含む。この2つのコード領域は遺伝的に連鎖しており、1つのユニットとして受け継がれる。このユニットは、その他にも自家不和合性に関連するDNA塩基配列を含んでおり、''S''ハプロタイプと呼ばれる〔〔。同一植物種の''S''ハプロタイプにおいても、内部のタンパク質コード領域の配列順・方向に違いがある例も報告されており、''S''ハプロタイプ内部での組換えが起こり難い要因の一つとされている〔Fukai E, R. Fujimoto, and T. Nishio(2003)."Genomic organization of the S core region and the S flanking regions of a class-II S haplotype in ''Brassica rapa''. " ''Mol Genet Genomics'' 269(3):361-369.''〕〔東北大学植物遺伝育種学研究室(2007年)「植物遺伝育種学研究室でのアブラナの研究 」。2009-03-08閲覧。 〕。以降の記述においては、Sハプロタイプの意味で「''S''遺伝子・''S''対立遺伝子」、その''S''遺伝子の染色体上の位置の意味で「''S''遺伝子座」の表記を用いる。
同じ''S''ハプロタイプに含まれる雌性決定要素と雄性決定要素の翻訳産物は、相互に作用することによって花粉発芽や花粉管伸長の阻害をする2種類のタンパク質である。それらは、自家不和合性反応を起こし、受精を防ぐ。しかし、異なるハプロタイプの雌性決定要素と雄性決定要素との間では、自家不和合性とならず、受精が起こる。以上は、自家不和合性の一般的なメカニズムを非常に単純化した説明である。植物種によっては、''S''遺伝子座は3つ以上の連鎖したタンパク質コード領域から構成されている〔具体例としては、''Brassica rapa''の''S''9ハプロタイプでは ''SRK''/''SP11''/''SLG'' の順に 約20 kbpの間に並んで位置している(「アブラナ科自家不和合性における''S''遺伝子座の分子遺伝学的解析」図3.より)。〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「自家不和合性 (植物)」の詳細全文を読む




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